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T.解雇
●解雇のルール
1.解雇とは
ポイント1.事業主から一方的に労働契約を解約することである
解雇とは、使用者が労働者との労働契約を、将来に向かって一方的に解約することであり、
労働者から労働契約を解約することを、「退職」といいます。
ポイント2.解雇には3つの種類がある
@普通解雇
勤務成績の不振、病気により復職が不可能の場合
A懲戒解雇
労働者が犯罪や服務規律に違反したとして、懲戒(制裁)として行う場合
B整理解雇
事業の縮小や業務不振に伴う人員削減(いわゆる「リストラ」)として行う場合
2.法律上の定め
ポイント1.解雇は原則自由だが、法律上の制限がある
法律上の制限として基本となるのは、労働基準法第18条の2で定める「解雇は、客観的に
合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用した
ものとして、無効とする。」です。
この条文は、平成16年1月から施行されたばかりの新しいものですが、社会的に確立して
いる判例(解雇濫用法理)を明文化したものです。
残念ながら具体的な基準は定められていませんので、従前どおり解雇が有効か無効かの
最終的判断は裁判所によります。
労働基準法第18条の2以外の法律による解雇制限は下記のとおりです。
○国籍、信条または社会的身分を理由とする解雇
(差別的取扱い)
○労働組合の組合員になったこと、結成したことなどによる解雇
(不当労働行為)
○労働者が女性であることを理由とする解雇
(男女雇用機会均等法)
○育児休業または介護休業の申し出、取得を理由とする解雇
(育児・介護休業法)
○業務上の傷病、産前産後休業中及びその後30日間の解雇
○労働基準法違反を申告したことによる解雇
ポイント2.民法で定める雇用契約について
民法第627条では、雇用契約の解約は申し入れ後、二週間を経過すれば契約が終了する
と定められています。
これは、解雇も退職も一緒です。
しかし、解雇については、この民法の定めより、労働基準法が優先します。
なお、月給制、年俸制など期間により報酬が決まっている場合には、解約の申し入れは次
期以後になり、かつ、解約の申し入れは当期の前半でなければなりません。
(詳しくは、退職のルールをご覧ください。)
3.解雇の理由
ポイント1.客観的に合理的な理由はさまざま
客観的に合理的な理由とは、明分化されたものはありませんが、客観的とは「第三者から
みても」でしょうし、合理的とは「解雇に値する事実」となるでしょう。
大まかなところでは、次の2つに分けられるでしょう。
○会社経営上の理由によるもの(いわゆるリストラ)
○労働者本人に関する理由によるもの
ポイント2.合理的理由の根拠として就業規則に定めることが大切
常時労働者を10人以上使用する者は、就業規則を作成し、労働者代表の意見書を添え、
労働基準監督署へ届け出ることが義務づけられています。
就業規則には必ず解雇の事由も記載しなければなりません。
つまり、一般的には就業規則で定めた解雇事由が、合理的理由であるといえます。
裁判例をみても、就業規則に定める解雇事由に該当しないときは、その解雇は無効と判断
されたものもあります。
要するに就業規則の解雇事由に定めていないということは、使用者自らが解雇権を制約し
たもとされたのです。
なお、作成した就業規則の効力は、労働基準監督署に届けたときではなく、労働者に周知
したときです。
社長室だけ、総務だけで保管しているのであれば、効力はありません。
4.解雇権の濫用
ポイント1.就業規則に定める解雇事由に該当するだけでは解雇権の濫用
就業規則で定める解雇事由に該当したとしても、即解雇は解雇権の濫用になる可能性が
あります。
これは、あくまで合理的な理由に該当しただけであって、「客観的な」あるいは「社会通念上
相当」を満たさない場合が多いからです。
例えば、一口に勤務成績不良といっても、営業のような社会情勢が関係するものや、採用
や配置転換直後は、誰しも当初から満足に業務をこなすことは不可能です。
後者の場合、上司などが十分な教育をしているかも解雇が有効か無効かの重要な要素で
しょう。
ポイント2.解雇以外の懲戒(制裁)は考えられないか
就業規則の解雇事由に該当したとしても、解雇の処分は過去の例から考えても重過ぎる
場合が多くあります。
例えば遅刻や欠勤が多いことも確かに解雇理由の一つでしょう。
しかし、就業規則にいくらそのように定めていても、いきなり解雇では、客観的な理由、社
会通念上相当とはいえないでしょう。
このくらいであれば、初回は「注意」や「譴責処分」が相当ではないでしょうか。
それでも繰り返すならば、もっと重い「自宅待機」や「減給」の処分とし、最終処分としての
解雇は、判例から推測しても有効と思います。
この遅刻や欠勤を理由とする解雇であっても、労働基準法を違反するような深夜に及ぶ
長時間の時間外労働が恒常的だったり、上司や同僚の嫌がらせやセクハラが原因の欠
勤ならば、状況が変わってきます。
このように使用者は解雇権を有しているものの、実際に解雇権を行使できる機会は極め
て限られるものです。
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